災害支援ボランティア団体との連携

連携、連携とよく言いますが…
小野泰輔 2025.11.09
誰でも

これまで、私はさまざまな災害に関わってきました。

まず大学1年生のときに起きた阪神淡路大震災。祖父が明石に住んでいて、住宅が半壊になったため、父と叔父とで支援物資を車に詰め込んで救援に向かい、瓦が落ちた屋根にブルーシートをかぶせたりするなどしました。

次に関わった災害は東日本大震災。当時私は熊本県知事の補佐役をしていましたが、恩師である蒲島知事から先遣隊として2人で宮城県に入りました。そのときはまだ福島の原発事故の状況がよくわからない中だったので、とても緊迫していたのを覚えています。

さらに、2012年7月豪雨と2016年4月の熊本地震、そして今年8月の八代の大雨被害です。

このように、私自身多くの災害を経験してきましたが、その中で災害支援ボランティア団体との関わりを意識するようになったのが、東日本大震災からでした。

私自身は宮城県に先遣隊として入ってから2週間あまり活動していたのですが、その任務が終了した後しばらくして、東京でJ-VOADの設立会議があったので参加しました。J-VOADは、内閣府も関与して設立された、災害支援ボランティア団体と行政とをつなぐ中間支援団体ですが、このような組織ができたことにとても大きな意義を感じました。

災害が起こると、すぐに全国からボランティア団体が被災地に入り、復旧活動をしていただけるようになってきましたが、被災地の行政は今までそうした団体との接点がないところも多いため、受け入れに二の足を踏むところも少なくありません。

そのような場合に、中間支援団体が存在していれば、行政との橋渡しをスムーズに行うことができます。

熊本地震の際、J-VOADの熊本版ということで「K-VOAD」が立ち上がりました。私もボランティア団体が毎晩情報共有会議をするためのスペースを用意したりと協力しました。

もちろんK-VOADが十分機能したかどうかというと、課題もあったとは思いますが、こうした場が設けられ、団体間、行政との間で情報を共有したり、意見をぶつけ合う場所ができたことは意義のあることだと思っています。

今回の八代平野の豪雨災害においても、「やつしろ災害支援団体連絡会議」が設置され、定期的に情報共有や意見交換が行われています。私も以前から一緒に活動もしていたボランティア団体の代表からお誘いを受け、一度市長自ら出席してほしいとオファーを受けましたので、先日参加しました。

そこでは日々被災者の支援に汗を流している支援団体の皆さんが積極的に発言され、情報共有していました。また、八代市側からも農林水産部および土木部の災害復旧担当者が複数参加し、団体のご意見やご要望をお聴きしていました。

ただ、団体の皆さんからは、これまで一度も危機管理の部署が来ていないのが残念、ぜひ出てほしいとのご意見が出たので、さっそく危機管理監にはその旨伝えました。次回からは出席してくれることでしょう。

こういう会議は、ともすれば支援団体から行政に対する不満や要望の表明の場になることが多いと思います。しかし、今回私が参加した会議がすばらしいと思ったのは、福岡から参加しているプロのファシリテーターの方が仕切っていたことです。

団体の主張をうまく取り上げ、建設的な議論になるよう導いていく様子は、とても頼もしいと感じました。

わが国おいてまだまだファシリテーションの重要性は認識されていないと思います。ぜひプロフェショナルなファシリテーターの認知向上と実践の普及を進めていくべきと考えます。

今後の連携会議の課題ですが、災害が起こったら駆け付ける支援団体について、毎年起きる災害現場での働きをデータベース化し、発災した自治体ですぐに受け入れられる仕組みを作っておくことが大切だと考えています。

熊本地震のときにも経験したことですが、ある団体が被災地に大々的に入ってきたものの、地元の住民の方がその団体が何者かもわからないうちに活動を始めたために警戒し、受容がなかなか進まなかったということがありました。

支援団体の方からは、このような会議を通じての連携では不十分なので、普段からあらかじめ行政と支援団体が災害協力協定を締結しておくのがスムーズなのではないかというご意見をいただきました。これも一考に値しますので、庁内で検討したいと思います。

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