情報公開請求への対応について

毎日たくさんの情報公開請求をいただいております
小野泰輔 2025.10.19
誰でも

市長に就任してから、数多くの情報公開請求が来るようになりました。

「市長が持っている情報は市民のもの」という考えの下、公開できるものについては公開していくという姿勢で担当課には臨んでもらっています。

これまで、ある文書について全部黒塗りにして出したというケースがありましたが、仮に黒塗りにするとしても、市民に納得していただけるよう、なぜその箇所が黒塗りなのかの説明を行うようにしました。

黒塗りの中で最も多いケースは、契約の相手先の会社などの担当者の個人名です。次いで、会社や個人の印影(はんこ)です。このあたりは個人情報ですので、凡例をつけてご説明するようにしました。

それ以外のものは、黒塗りする必要性はかなり限定されると思っています。一番多いのは、相手方の会社の競争上等の地位を失わせるおそれがあるものです。たとえば、その会社が持っている独自の技術やノウハウに関する情報です。ただし、こういうものであっても、私はできる限り公開したほうが、市民の信頼につながると思っていますので、条例に基づき、その会社に対し、この部分を公開してよいかの確認を文書で行っています。

情報公開を進めることは民主主義にとって非常に重要なことと考えていますが、今直面している課題があります。それは、事務作業の増大です。請求された資料があるのかないのかを探し、個人情報など非開示にすべき箇所を塗りつぶす作業を行う必要があります。

市役所の職員さんは皆真摯に頑張ってくれていますが、これにも物理的な限界があります。文書によっては1部が500ページにも及ぶものがあり、その中から個人名や印影を黒塗りしていくだけで大変な時間と労力がかかります。

そもそも私は、市役所の文書の作り方を、情報公開がしやすいようにしておくことが大事なのではないかと思っています。情報公開請求をさせることを前提とした作り方をしていないから、膨大な作業が必要となるのです。

そのためには、印鑑を廃止するとか、文書をデジタル化した上で、個人名を書く際にはタグ情報を埋め込んでおいて、その箇所を公開する際には自動でマスキングされるようにするなどの仕組みが必要になると思います。AIの活用も省力化の方法の一つです。いずれにしても、生産性向上のためにはデジタル化は不可欠です。

とはいえ、これまでの文書は紙にハンコを押したものが中心ですから、現状においてどうするかを考えなくてはなりません。

これは市民の皆様へのご提案なのですが、市役所がその時点その時点でどれだけの情報公開請求を受けており、どれだけの時間がかかりそうかをお示しし、その負荷状況を見ていただいた上で請求を行っていただくというやり方を導入するのはいかがかと思います。

的確に処理してくれる職員あっての情報公開です。業務量が増えたからといって外注できる性格の仕事ではありません。もちろん、請求の引き延ばしを行わないよう、業務をチェックする役割を担う担当者も必要だと思います。情報公開請求のペースのコントロールがどうしても必要なら、条例を改正することも視野に入れてもよいかもしれません。

市役所がパンクするから情報公開請求をしないでください、と言うつもりは全くありません。市民が市役所の情報にアクセスする権利は、民主主義にとって極めて重要なものです。

しかしながら、その処理件数の多さのために職員が疲弊し、つぶれてしまってはいけません。市長は市民の声を聞いて適切な市政を行うことが最大の役割ですが、それをするために市役所の職員の健康と精神の健全さを保つ努力も同時にしなければなりません。

私も毎日毎日、個別の情報公開請求のケースについて担当課と打ち合わせしていますが、どうすればよりよい情報公開ができるか、その方法について考え、工夫を行っていきたいと思います。

無料で「自治体首長のしごと部屋」をメールでお届けします。コンテンツを見逃さず、読者限定記事も受け取れます。

すでに登録済みの方は こちら