公助の範囲と自助・共助
8月に八代平野を襲った線状降水帯による大雨被害に際し、被災した市民の方々から以下のような声を多数いただきました。「浸水した家屋の片付けをしようにも、高齢者の一人暮らしでなかなかできない」「ボランティアもなかなか来てくれない」
今回の災害は、ほとんどが浸水被害です。床下が最も多いですが床上もかなりの件数に上ります。
床上浸水は浸かった畳を廃棄したり、板張りの床を剥ぐ作業をしなければなりません。壁も浸水していれば同様です。これは高齢者にとってはかなりの重労働です。
また、床下浸水は楽なのかといえばそうではありません。一旦床を上げて、流入した泥水を洗い流し、消毒しなければ、床下からのカビが生えて健康被害を引き起こします。場合によっては床下に潜り込んでの作業が必要となります。これも高齢者ができるのかといえば、かなり困難なのではないかと思います。
現在、床下浸水や床上浸水について、国の災害救助法で何か支援があるかといえば、これと言ってないというのが実情です。もちろん、個人の自宅は自分の財産ですので、個人の財産の修繕などに対する国の支援は原則としてありません。
しかし、今日のわが国の高齢化、独居化の進行をみると、そうも言っていられない現実があります。片付けをしようにも身体が動かない。早く生活再建をしなければいけないが、ボランティアも必ずしも十分いるわけではない。また、世帯によっては、人に頼もうと思ってもお金がない。
被災後の生活再建の中で、これまで自分で行ってきたものができなくなっている、そういうケースが増えてきているのではないかと思います。
地震で家が倒壊した、大水害で家が流された、という甚大な被害であれば、生活再建のスキームがある程度発動される一方、浸水被害については生活に与える影響が大きいにもかかわらず、支援の程度は非常に薄いということが、高齢化した世帯の生活に対してとても重くのしかかっていると感じています。
財政面での制約から、床下浸水も含めて公助をすぐに広げるわけにもいきませんが、被災者の生活再建を福祉の観点から考える必要がこれから益々増えてくると思います。
今やれることとしては、地域での共助の力の強化です。普段から緊密な地域内コミュニティのつながりづくりを行い、お互いの信頼関係を高めるとともに、災害対応力を高めていく努力を皆で行っておく。
中長期的には、そもそも床下浸水が起きても簡単に洗い流せるような住宅構造を研究、普及させる。気候変動がこれほどまで進んだ以上、線状降水帯により同じような大雨が降り、そのたびに同じように被災するのではお金も気持ちももちません。
冒頭のような市民のお声に市長として十分にお答えできないのが大変心苦しいのですが、このようなことについてできることを取り組んでいきたいと思っています。
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